抱きしめていた腕を離して紅羽の頭を優しく撫でながらできるだけ優しい声にしてそう言った。
紅羽は俯いていて顔は見えないけどポツリと涙が溢れて泣いていることがわかった。
「私ね、っあまちゃんに、また助けてくれてっ、嬉しかったっ」
初めてふたりに会ったのは今みたいな感じだった。
高校1年の夏に紅羽が男に絡まれていてそれを助けて仲良くなったのだ。
そのときは叫びながらしのが来たけど今日は……、
「紅羽!! 紅羽!!」
来た。
私たちを見つけて鬼の形相で走ってくるしのに苦笑い。
「紅羽!」
しのは私を押し出して紅羽を抱きしめた。
……助けたの私なのに押し出すって。
「しのっ、ちゃんっ」
「紅羽! ごめんね、紅羽がお腹痛くてすこし遅れるって言っててもまっとけばよかったよ!!」
『お腹痛い』ってそんな大声で言うなよ、バカか。
……だけど、しのらしくて笑ってしまう。