【 雨宮 楓*Side 】


***



私はとっても腹を立てている。



「あま〜! ……あれ?なんだか怒ってる?」



朝、いつもより早めに来て自分の席で腕を組み、眉間にしわを寄せる。

そして、いま、呑気に私の名前を呼ぶしのをギロリと睨んだ。



「しの、私に言わなきゃいけないことがあるでしょ」



少し低くして言う。

だけど、睨んだのが相当怖かったのか少し顔が青ざめている。


……別に、殺したりはしないよ、バカ。



「え、と…… おはよう?」



ほんっとに、こいつの頭はイカれてる。


いや、確かに朝だからおはようって言うのは当たり前だけど、

誰がおはようって言われなくて怒るんだよ、バカ! アホ!



「き・の・う、何があったのか隅々まで話しなさいよ」



昨日のお昼。先生に呼び出しをくらったらしいしのはそのまま帰って来なくて、

5時間目もサボっていた。


まあ、不良高だからサボる人がひとりやふたりはいる。……だからそれは別に気にしてなかったんだけど。