「で、なんのようですか」
すこし声を低くして言ってみる。
まあ、なんのようかなんて分かり切ってるけどね。
どうせ『四季はみんなのものよ!』とか言うんでしょう?
ほんっと、幼稚。
四季はものじゃないっつーの!
「単刀直入に言うわ。
ーー今後一切、四季さまに近づかないで」
そう言ったリーダー格の女の子は私に紙を渡した。
ただ一枚だけじゃなくて何枚……いや、何百枚のほうが近いかも。
「それは四季さまと離れてほしいひとたちひとりひとりの名前よ。
これだけの人間が言ってるの。だから今後一切関わらないで」
……律儀かよ!!
ひとりひとりの名前って……律儀かよ!!
これはもうつっこまずにはいられない。
こんなパンダ8匹が『四季さまには近づかないで』ってギャンギャン騒いで
そのくせ最後にどんだけの女の子が私と四季が近づかないでほしいっていう証拠を持ってくるなんて
どんだけ律儀なんだよ、このパンダ!
怒りと呆れ通り過ぎて感動だわ!