「あんた……、ーー惚気んな」



ええええ!? あまひどい! 惚気てないもん!

いたって真剣! 真剣というか恥ずかしいもん!



「惚気てませーーんっ!」



そう言ってあっかんべーをする私を見てため息を漏らすあま。

ふ、ふんっ! あまなんか知らないっ!



「し、しのちゃん……?」


「んー? どうしたの、紅羽」



今朝の話しを頬を染めながら聞いていた紅羽がいきなり声を発した。

私は目線を紅羽に移す。



「大丈夫なの? ーー嫌がらせ」



嫌がらせ、ね。

四季の家に住むことになった次の日。午前カットだったその日は早く帰れると気分ルンルンだった私に声が聞こえたのだ。

『忍、一緒に帰んぞ』という四季の声が。


その日の4時間目、四季はサボって教室にいなかったのに私を迎えにくるために教室に来るので、

クラスで【 トップの若宮さんは2年4組の佐渡 忍と付き合っている 】と勝手に思い込み、

言いふらしたクラスメイトの所為で私と四季は付き合っているというデタラメがその次の日には回っていたのは今でも覚えている。


うん、衝撃だったんだもん。