ふ、と。
四季がトイレに行ってそのまま紅羽たちを待っていたときに
チャラ倉に言われたことを思い出した。
「ね、ねえ四季」
『10年以上前からの片想い』
そうチャラ倉は言ってたけどそれってほんと? 私と同じなの?
「なに」
時刻はもう午前0時を過ぎているからか眠たそうな四季。
それでも私にあわせて起きてくれるところが嬉しい。
「四季の初恋って…だれ?」
ーードキドキ、する。
期待と不安。このふたつが私の心を支配する。
四季はキョトンとした顔を見せるとすぐに不敵な笑みをこぼす。
「おまえは?」
「…へっ?」
「おまえの初恋は?」
まさか、返ってくるとは思わなくておもわずうつむく。
初恋なんて四季に決まってるじゃん! それを言えたらどんだけ言いか。
だけど言えないのが私。