「…あのーーやっぱスーツって事は会社員ですよね、?なんも名札掲げてないから誰だかちっとも検討はつきませんけど、聞いてます?」
「聞いている」
返事か出来んのかあんたは、
「なら誰か教えてくださいよ、」
不本意に答えを求め、傷つきたくはないけど、しょうがない。
古傷は解決しなくても胸にしまってればいい。
「ーーーーー奥理琢巳」
………え?
思わず息を止めて、彼を改めて見る。
嘘だ。高校受験の前にみんなで集まってテストをする会場にたまたまいた彼とは全然違う。
寧ろ話しかけてこなかったし、いつもいっぱい声かけてた。
一緒に遊びたくて、
遊びたくて、
なのになんで私の名前呼んでるの?
「ーーーーー帰る」
「は?」
「帰る。胸苦しい。」
しかも私が一番関わりたかった人。
なのに言葉はそれしか浮かんでこなくて思わず涙を溢れるのを堪え、冷静に見つめる。
自然に別れてはないけど、彼は甘えられた人生歩んできて、
その中に入りたかった。
女の子だから彼のお母さんに憎まれ羨ましいと口にしなくとも寄せないようにしていたらしい。
だからその一人で、返事なんか一切もらった事ない。
まだ生きてるならーーー
彼がなおさら関わっちゃいけない人