中はソファーが2つとガラス張りのテーブルとデスク。そして大きな振り子時計
そしてアンティーク調の置物がいくつかあった。
『コーヒーと紅茶どっちがいいかな?』
「紅茶で」
『意外(笑)。』
「そうかな?香りとか落ち着くから好きだよ。」
『男の人ってコーヒーのイメージが強いから。ここに来る人はみんなコーヒーばっかり(笑)』
『そう言えばお名前聞いてなかった。私は九良間 咲夜 (くらま さくや)縁あって八宵さんのお手伝いをしてます。』
「お手伝い……ここってどういうところなの?」
『えっ?』
少しばかり驚いた顔をして彼女は続ける
『あなたは八宵さんとどういう関係なの?仕事関係で来たようじゃなさそうだけど。』
俺はポケットから以前渡された名刺を彼女に渡した。
「これ。先週末かな、初めて神崎さんに会ったのは。それで気になって来てみた次第。」
フフッ
グーの手で笑いをこらえる彼女
「ん???おかしい???」
見ると裏面を眺めていた。
『ごめんなさいw.普段私意外にこんなことする人じゃないから、可笑しくてっ』
おそらく(はーと)のことだろう。
普段どんだけ堅苦しいんだよ神崎
『君のこと、けっこう気に入ったみたい。あ、そう言えば名前。まだ聞いてない』
「ごめんごめん。俺は、黒須 史也 (くろす ふみや) えっと…」
ゴーンゴーン
振り子時計が2時を指していた。
『いっけない、私用事があるんだった!!ねぇ、史也くんお留守番頼まれてくれないかな?30分だけ!ねっ??』
「俺は構わないけど、大丈夫なの?初対面の俺一人残して、心配にならない?」
『心配にならないよ!だって……』
薄く笑って彼女は
すっと、例の名刺を指差す─
『その名刺を持ってきたってことはそう言うことでしょ?』
「そのつもりだけど…(笑)」
彼女は僕が、ここに来た理由をわかっていた
『あらためましてよろしくね♪史也くん』
後ろに手を組んでニコッと笑う彼女にこの上ない親しみを覚えたのは言うまでもない。
「こちらこそ!九良間さん」
『ちょっと、私苗字でよばれるの好きじゃないの。訂正を求めます』
「あはは、あらためまして咲夜ちゃん。よろしくね」
ちょっと、ドキドキしている自分がいた。
このときはまだなにも知らなかったのだから仕方がない。
『うん!じゃあ私いくね!多分八宵さんまだ帰ってこないと思う~』
ガチャッ
そう言い放って彼女は急ぎ足で行ってしまった。