はぁ〜これからどうしよう…。
とりあえず、いつもの公園行こう。
………本当、寒い…。
歩きながら澄の事を考える。
いつもなら、こういう時、澄に連絡して一緒に居るのになぁ。
いつもの公園につくと
「……うわっ。」
ヤンキー集団が居た。
今日もなの?
最近ずっとこの公園は、ヤンキーのたまり場状態。
どーしよう…。
くるっと向きを変えたら
「朱鳥!!!!」
後ろのヤンキー集団の中から、さっき置いてきてしまった人の声が聞こえた。
振り向くと、やっぱり彼が居た。
金髪で、片方を編んでる彼が。
「………………叶汰…。」
なんでヤンキー集団に居るの?
「朱鳥……。」
叶汰の顔は悲しげで
ゆっくりと、足を公園の中に踏み入れる。
彼も、ゆっくり私に近づいてくる。
なんだろう…。
すごく胸がドキドキする。
さっきまで抱いてた、母に対しての嫌悪感が無くなっていく。
彼の前までくると
「朱鳥。」
ホッとしたような顔をされた。
それに私もホッとする。
なんでだろう…。
というか
「なんでヤンキー集団に叶汰も居るの?」
The シーン
え?私なんか変な事言った?
「しゃ…べった?」
「え?マジで?」
「あの高嶺の華が?」
とかヒソヒソ聞こえてくる。
あー確かに。私、学校じゃあ話さないし、口数少ないから、声聞いた事ある人少ないんだろうなぁ…。
「朱鳥だってそりゃ話すだろ。」
叶汰の言葉に皆
「そーすよねっ!」
って頷いてる。
極端に話さない私が悪いんだけどね…。
「ねぇ、なんで?」
とりあえず気になるのは、どうして叶汰がヤンキー集団に居るのか。
苦い顔をした叶汰だけど
「俺、皇笆(こうは)っていうチームの総長なんだよ。」
って教えてくれた。
………………総長…。
総長?
「何それ。」
総長の意味が分からない。
「………えっ?」
叶汰も力が抜けたのか、マヌケな声を出した。
「総長ってどういう意味?」
……………………………………。
はい The シーン
酷いなぁ…。
「暁葉悪い説明して。」
暁葉(あきは)って呼ばれた人が、叶汰の変わりに説明してくれた。
総長とはつまり、一番強くて偉い人。
「叶汰喧嘩強いんだね。」
「そーだよー!叶汰は強いよ〜。」
「ねぇ、叶汰。」
「お願い無視しないで!」
説明してくれた暁葉って人には悪いけど、話したくない。
「ん?」
「寒い。」
急いで出て来たらコートを着ずに出て来てしまった。
でも家には帰れない。
さっき叶汰を突き放した私だけど、叶汰を頼ってる…。
最低だな…私。
「コート着て来なかったのかよ。」
近くのベンチに座ってる叶汰が、おいでおいでってするから行くと
"グイッ"
腕を引っ張られて叶汰の胸へダイブ。
はっ?!
「香水臭くはねーだろ?香水やめたから。」
あー、うん。しない。
じゃなくて!
「離して!」
なんで叶汰の膝に座らなきゃなの?!
「寒いんだろ?まぁ、あと10分待て。したら、皇笆のたまり場連れてってやるから。」
いや、連れて行かなくて良いし!!
って言う私の願いはちり、たまり場に連れてこられた。
広っ…。
連れてこられたのは、デカイ2階建てビル。
「未稀夜説明して。」
たまり場について説明してくれたのは未稀夜(みきや)。
「………小さいの子倉庫。近づくな。デカイの、幹部以外が集まる。あれ、バイク弄る場所。終わり。」
………………はい?
意味が分からなすぎてヤバいかもしれない…。
「……意味分かんない。」
ボソリと小さく呟くと、めちゃくちゃ面倒くさそうな顔をする未稀夜。
ムカツクっ…。
言わないけど。
「んじゃ俺が!」
暁葉が出て来たと思ったら
「大丈夫だ。今ので分からなかった君が正しい。」
なんかデカイの出て来た…。
暁葉は明るい茶髪で、結構童顔。
未稀夜は黒髪で、無表情。
この人は、赤髪で長身の柔らかい笑顔。
「はぁ。」
自然に出た声。
「あ、俺は蜜流。もう1回説明するな。」
蜜流(みつる)には、何故か嫌悪感が一切ない。
男には絶対感じるのに…。
蜜流の説明でやっと分かった。
子倉庫は、とにかく近づかない。
じゃないと怪我するらしい。
今居る場所は、幹部、つまり偉い人達以外が、話したり何かする為にある。
この隣にあるデカイ所は、バイクを弄る場所。
2階は、偉い人達が集まる部屋、仮眠室、お風呂、トイレがある。と。
「ありがと蜜流。」
蜜流はビックリしたような顔をしたけど、すぐに笑って
「どーいたしまして。」
って言った。
「さて、朱鳥ちゃん、上行こうか。
叶汰が待ってる。」
それに頷く。
叶汰は、未稀夜と蜜流が私に説明してくれてる時に、上に行ってしまった。
不安だらけで仕方ない。