彼女にかける言葉というよりは、自分の想い。
その想いが思わず零れてしまった。
「え・・・今、なんて・・・」
零れてしまった想い。
だけど、本当の想い。
「俺はさくらさんに、傍にいて欲しいんだ」
さっきよりも、はっきり力強く言い切る。
これが答えと覚悟の形、だからこそはっきりと伝えなければいけない。
彼女が言葉に詰まるのなら、何度だって言い切る・・・
「・・・信じて・・・信じて、いいんだよね」
「うん・・・信じて欲しい」
答えと覚悟。
それに信じること。
それが二人にとっては、一番大事なことなのかもしれない。
「これが俺の気持ちだから・・・あとは、さくらさんが自分自身で決めることだよ」
「うん・・・そうだよね」
「さくらさんがどんな答えを出しても、俺、信じて待ってる・・・さくらさんのこと」
彼女は泣いているようだった・・・
けれども、今流している涙は、前にここで流した涙とは違う。
「それに、前も言ったじゃないか。何があっても、俺の気持ちは変わらないよ」
「・・・ありがとう」
涙を流しながら彼女は笑い、それにつられてこちらも笑った。
今、二人の心の距離は実際の距離とは違い、すぐ隣にいるくらいの距離だ。
きっと、これからもずっと・・・
「ねえ?」
「何?」
「あのとき言いかけた言葉・・・今、聞きたいな」
「えっ」
あのときの言葉・・・
それは泣いていたさくらさんに必死で伝えようとしたが、伝えられなかった言葉・・・
「あっ、ひどーい。もしかして、忘れてるでしょ」
忘れるはずがない。
「ねっ・・・お願い」
あのときも、今も、これからも・・・
絶対に忘れるはずがない。
「俺は・・・さくらさんのことが・・・」
こんにちは。
そちらは変わりありませんか。
私のほうはようやく講義にも慣れて、少しずつサークルにも顔を出す余裕が出てきました。
でも、まさかあなたが通う学部が、私とキャンパスが違うなんて・・・
また、離れ離れだね・・・
でも、前よりも寂しくなんかないよ。
やっぱり、二人が繋がっているからかな?
なんか、恥ずかしいこと書いているね、私。
そうそう、百合ちゃんが試合のチケットを送ってきてくれたんだ。
今度、二人で見にいこうね。
話したいこともたくさんあるし、普段会えない分をうんと楽しもう。
あっ、お姉ちゃんが「運転は任せて」だって。
もう、応援もほどほどにしてもらわないとね。
それでは、また連絡します。
桜沢紗希
『我那覇くんの恋と青春物語~桜沢紗希編~』を最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます!
作者の直木翔人です。
さて、我那覇くんシリーズも三作目の完結となりました。
今回は前の二作と違った形のストーリーとなりましたが、皆さん楽しんで頂けたでしょうか?
前の二作は学校でのことが描かれている部分が多かったですが、今回はさくらさんが転校してしまっているので少なめに描きました。
なので、雅やコウ、他の女の子たちの出番が前と比べて少なくなってしまいましたが・・・
それでも、少ないながらも良い味出してましたよね?笑
また今回は前の二作よりも、『切なさ』というものをかなり意識して書きました。
もう書きながら、作者なのに切なすぎて「ああ~」とか叫んでいました(笑)
今回は『距離』がテーマとなっていましたが、僕自身も大学時代に遠距離恋愛というものを経験しました。
しかし、残念ながら僕は実を結びませんでしたが、作中に時折そのときの感情がぽろりと出てきたりもしています。
もし、あのときにこの作品を書けていたら・・・我那覇くんのように出来たのかな・・・
まあ、それはそれ、これはこれですよね(笑)
でも、恋愛って距離に関係なく、答えや覚悟、信じるというようなことが大事なのではないでしょうか。
離れたからといって、心の距離まで離れなければ恋の形は崩れないのではないでしょうか。
綺麗ごと書いていますね~
でも、作家って綺麗ごとを書くのがある意味仕事ですから(笑)
まあ、相変わらずの纏まりがなく、何を書いているのかよく分からないあとがきもここでお終いにします。
次回作も機会がありましたら、読んで頂けると嬉しいです。
ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました!