「退学届け出した後に、役所に行って、母子手帳の申請しようか。」

「うん。」

「よしゃ、んじゃ上履きに履き替えてこいよ。」

「うん。」

うわっ。靴箱クッサい……気持ち悪い…吐きそう…

「おまたせ、ちょっとトイレ行かせてぇ…」

「あ?行ってこい。」

トイレも臭い…胃液を絞り出して、類くんのところに戻った。

「前より悪阻ひどい?」

「…うん、多分精神的なこともあるんだと思うけどねえ…」

「なんかあったら絶対すぐ言えよ。1人の体じゃないんだし。そもそも、椿樹に何かあったら元も子もないからな。」

「うん。…ありがとう。」

「うし。教室によって、荷物全部まとめて持って行くか。」

「そだね。」

「俺からでいい?俺のクラス今体育なんだよ。」

「うん、いいよ。」

類くんのクラスは3年2組。だから、4階まで上がらないといけない。


タンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッタン

類くんはあたしに合わせて、手を繋いで、ゆっくり階段を上がってくれる。そういう、小さな気遣いが今はありがたい…

ガラガラガラガラガラッ

「「え?」」

あ、類くんとハモった。

「ハァー。要。こんなところで、盛ってんなよ。」

「あーあ。誰も来ないと思ってたら、まさかの、サボった類也くんが登場みたいな?」

七海は真っ赤なのに要くんケラケラ笑ってるし…

「サボってねぇよ。ま、すぐに出てくからいいよ。」

「すぐにって?」

「5分で終わらす。」

「ねぇ。気になったこと聞いていい?」

「いいよ?」

「その、川神が抱っこしてる子誰?」

「……ハァッ。息子の於兎。」

「え?引き取ってきたの……?」

「でも何か、顔さ、類に似てね?」

「はぁ?当たり前だろ?息子なんだから。」