「やあ、新入生。うちの部員の字は気に入ってくれたかい?」




釘つけになっていると身長が170はあると思われる男の人に話しかけられた。




「いえ、ただきれいな字だな、と思って。」




「これはね、うちの部活の2年の立野 龍生、通称タッチーが書いた字なんだよ。」




よく見ると左端に書道部2年立野 龍生と書いてあるのが見える。



さっきの会話からして、たぶんこの人も書道部だと思われる。



「そうだ、俺の自己紹介がまだたったな。俺は書道部部長、2年の坂原 鉄だ。」




2年で部長、少しおかしいと思って学校のパンフレットを見ると『書道部、去年に作られた部活。部員数3人と書いてある』





「実は去年はちゃんと五人いたんだけど、今年になって止めちゃって。だからさ、書道部入る気ない?」




ようやくここで部活の勧誘だとわかる。私は部活は決めてなかったものの、書道部に入る気はなかったから焦ってしまう。




「書道は」




それを悟ったように坂原先輩が話始める




「書道は心を映す鏡だ。やりたい、やりたくないの前にやってみな。やり終えたとき、お前はすでに書道の虜だ」





微笑む姿に先輩がどれだけ書道を愛しているかがわかった