前をちらりと確認すると、制服にコートとマフラーらしい男子の背中が小さく見えた。

あの人の足跡だったんだ。

春からずっとこの道を歩いていたけれど、私の前を歩く人がいたことは気づかなかった。

下を向いてしまうのは、私の昔からの癖。

気づかないのも当然だった。


そして、その足跡は、駅まで続いていた。

駅につくと、ホームにはちらほらと人がいた。

向かいの駅にも数人。

どの人だったんだろー...あ、あの人かっこいい。

いつも下を向いていたから、そんなことに気づいたのも初めてだった。

誰かさん、ありがとうございましたっ。

心の中でお礼を言った。