「どう、史恩」

いつの間にか下の名前で呼ばれていた事に、今更気付く。
今は二日目の帰りの電車の中。

昭尋はうとうとしながら、そうきいてきた。

「俺、マネージャーやりたいかも」

男でもいいなら、だけど。

「競技はやらなくていいの?」

「……うん」

それには訳があった。
俺はいわゆる器用貧乏ってやつで、小さい頃から適度に何でもやってきた。

だから何かを極めたことがなくて、陸上に対しても適度に終わってしまうんじゃないかと怖かったんだ。

体操もピアノもバスケもバレーも……全部浅く広くで終わってきた。

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