「やっぱり丘本ってモテるんだね。」
私はそんな気持ちが早く消えるように違う話をした。
まあ、丘本にとっては当たり前の事なんだろうけど…。
なんせ私は丘本の嘘告が始めての告白なのでね。
「俺の何が良いんだろうな?
俺のことなんも知らないくせに」
どこか遠い目をする丘本。
お昼時の強い日差しが丘本を照らして顔に影ができている。
なんだか切ない気持ちになった。
「一目惚れとかじゃない…?私もわかんないけど」
「分かんないのかよっ!」
「だって私だって恋…したことないし…。」
高校生にもなって初恋がまだって遅いかな?
「私だってってなんだよ!
俺はちゃんと恋してるぞ!」
「今までは?華桜を好きになる前はどうだったの?」
「うーん…。言ったら非難される気がする。」
「しないから言いなさい!」
仁王立ちした私を見てケラケラ笑う丘本。
良かった。
笑ってくれた。
「急に上からだな、おい!
…俺も中村に会うまでは恋したことなかったよ。」
そうやって顔を少し赤く染めてはにかんで言う丘本。
ちょっと可愛い…。
でも意外だな~。
丘本は学校で知らない人はいないくらいの人気者なのにね。
じゃあ、華桜が初恋なのか…。
なんだか…華桜が羨ましく感じたのは、こんなに想われてることに対して、だよね。
「学園の王子様なのに恋したことなかったんだ~!」
「お前、非難しないって言ったよな?」
「これは非難じゃなく、驚きですわよ?」
「ですわよっとか…ぶっ!」
あっ!吹いた~!失礼な!
確かに変な言葉使いになった事は認めるけど…。
そしてなんの前ぶりもなく急に
「なんかさ、境って思ってたより話しやすいな」
こんなこと言うから困る。