おっさんがベッドに上がってくるなり組み敷かれる。

動けないんだから意味ないっての…。

おっさんが手にしてるのは注射器。

「…っ」

嫌な感じがする。猛烈に嫌な感じが…。

「やめて…」

「心配しなくてもいい。ただ気持ちよくなるだけだ」

「やだぁ…」

抵抗なんか、無視だ。

腕に突き刺さったそれは、あっという間に中身を入れられる。

おっさんが退く。だけど、頭がぼんやりしていく。

これ…まさか…。素人にこんなの躊躇なく打つなんて…。

腐ってる。こいつは…、一体これで何人の人生を壊したんだ…。

服の中に滑り込んできた手に勝手に体が跳ねる。

何だよ…いつもいつも面倒ばっかなのに、こんなときくらい、さっさと食い尽くせよ…。

おっさんが気持ち悪い笑みを浮かべるのが分かる。

また乗ってきたおっさんにされるがまま、悔しさでこぼれた涙が憎々しくて、勝手に口から出る声が気持ち悪くて、吐き気がする…。

絶対に仕留める。逃がさない…。

華月組が乗り込んでくる、その時までせいぜい余生を楽しめばいい。どうせ、後数日だ。

決意を新たにして、おっさんを睨み付けた。