建物の影に身を潜める。気のせいかな。今日は少し静かな繁華街。
昨日はいかにもって人が多くいたけど、今日は形を潜めてる。
「華月の詮索が入ったんだろ?」
「あぶね~。昨日はやめに切り上げてよかったな」
通りすがりの青年たち。なんか臭い。…。
「ねぇ、お兄さん」
「あ?なんだ…っ」
振り返った瞬間に、鳩尾に入れる。あっさりとダウンしてくれた。
ずるずる引きずって、路地裏へ。結束バンドで後ろ手に拘束して、転がしておく。仲間が1人いなくなったと言うのに気づかない青年たち。
やれやれ、おバカさんだ。不意に背後に気配。振り返る前に首筋に冷たいものが触れる。
「シュリ。やってるな?」
「…クロさん。冗談やめなよ」
「少しは怖がれ」
首筋から離れた冷たいもの。振り返れば、顔に傷のあるおじさんがキラリと鈍い光を反射する冷たいものを手ににやりとした。