温かい雫が頬を伝う。流れて、石に当たって砕ける。

ダメだ。泣いちゃダメなのに。

この涙にも、唾液にも、この体から出るすべてのものに赤が潜んでる。

血に比べれば薄いけど、それでも確実に赤は潜んでる。

だから、泣いちゃダメなのに…。

「朱音!!」

「ふえ?」

顔をあげたら焦った顔の次男さんがいた。

「っ!?来ちゃダメ!!」

「え?…怪我したの?」

ポケットからさりげなくビニール手袋出して、近づいてくる次男さん。

「あーあ、泣いちゃって。そんな痛かったの?」

「…スズメ、死んじゃった…」

「…朱音、泣かない。後で埋めてあげよう」

頭ぽんぽんってされる。