空が青い。当たり前なのに、見上げてしまうのは、あの日と同じ雲1つない晴れ渡った空だから。
その空に消えたあいつを思い出してしまうから。
「冴木!何ボケッとしてんだ!!」
「ッ!?すみません!!」
怒鳴られた声で我に返る。慌てて瓦礫を山のように乗せた一輪車を押す。
工事現場の入り口付近で山のように積み上げられた瓦礫に、持ってきた分も足して一輪車を空にするとすぐにさっきの場所に戻る。
あれから3年が経った。
朱音の葬式はひっそりと、世間から隠れるようにして行われた。参列者は言わずとも華月の者だけ。
華月の功労者として惜しまれながら、でもどこかで脅威が消えたと言うような安堵感が漂っていた。
朱音がいない日々を、やっと受け入れた俺は華月を抜けた。
元々、そのつもりだった。朱音を連れて、華月を出て“普通”の生活を2人で過ごしたかった。
だから、絶対に人を手にかけなかった。表の世界に堂々と出ていけるように。