背負わせた。背負わせてしまった。
私が蹴りをつけるべきだったのに。汚れたことを知らない魁に、背負わせてしまった。
ごめん。ごめんなさい。
私のせいだ。私が先走ったばかりに、魁が…。
抱き締めてくれる手は力強い。この手に何度助けられただろう。何度救われただろう。
なのに、私はその恩を返すどころか仇を返してしまうなんて。
最悪だ。
「朱音、泣くなよ。俺は、俺がそうしたかったからこうしたんだ」
「…」
「朱音、もう、お前を脅かすやつはいない。だから、お前の時間、全部俺にくれるか?」
…魁は、どうして私を見てくれるんだろう。
こんな、ボロボロで、汚くて、それでいて面倒な。こんな奴を魁はどうして、女の子として見られるの?
…ううん、今はそんな愚問はダメだ。
魁が望むのなら、…いや、本望だ。
「…あげる。かいに、ぜんぶ」
「ん。勝手にどっか行くなよ。…いや、俺の許可なく離れるな」
結構厳しい。でも、それでいいや。それが、華月魁だから。