「おかえりなさいませ。魁様、朱音様」
厳つい男たちの歓迎を抜けて、家の中に入る。
そのまま廊下を突き抜けて、1番奥の部屋まで行く。
「親父、入るぞ」
弟くんが声をかけて襖を開ける。その瞬間飛び出してきたものを左右に別れて避ける。
条件反射。
廊下の壁に熱いアタックをしたお父さんは、そのままズルズルと床に倒れた。
「おかえり。魁、朱音」
「ただいま」
「兄貴、あれどうにかなんねぇの?」
「ん?壁に激突して穴開けるくらいお前らがかわいいってことだ」
長男さんはさらりとそんなことをいって、またおっきく空いた壁の穴を見てた。
ポンッと頭に乗る手。わしわし撫でられる。
長男さんはいつもそうする。
「それより、学校どうだ?」
「家で勉強する」
「朱音はまたそんなこと言ってんのか」
「教科書あれば出来る」
苦笑した長男さん。絶対に学校だけは行かないとダメって言う。
なんでって聞いたら社会勉強って言われた。
長男さんは学校のことに関してだけ厳しめ。他は自由。弟くんより自由。