「朱、栄養つけなきゃ、赤ちゃん生めないだろ~?」

……………………………………………は?

赤ちゃん?誰の?

何言ってんだこいつ…。まさか、そんな本気で…。

研究者を見ればいつもの笑みを浮かべてる。それが楽しくてたまらないと言うように。

繰り返される。私と同じような人が作られてしまう。

「朱のためにいいのを見つけるの大変だったんだよ?気に入ってくれるかなぁ」

ふざけるな。こいつは本当に狂ってる。

平気で人の命を生み出して消してしまう。

やっぱりこいつは消さなきゃダメだ。絶対にこいつを置いて逝かない。連れていくんだ。

無理矢理食べさせられる食事が終わるといつもならすぐに出ていく。なのに、今日は注射器なんか取り出した。

「一方的にやられるなんて嫌でしょ?」

そんな言葉と共に入れられた薬。すぐに手足の感覚が戻ってくる。

こんな薬いつの間に…。

呆然としてるところを拘束されて、無理矢理連れ出される。牢を出て連れていかれたのは、いつもの実験室ではなく、向かえ側のドアだ。