階段を上らされて、真っ白な廊下に出た。等間隔に並んだ防火壁が降りる場所とボタンがその近くにある。

廊下をせわしく進む白衣の研究者たちは気絶する前に見た奴らと同じ。全部で6人。

部屋は今上がってきた牢に繋がる場所を含め、扉が見える限りで5つ。

端の扉から突き当たりまでまっすぐに延びた廊下は大体100メートルほど。それほど距離はあるのに部屋数は少ない。

内部を観察しながら、連れていかれたのは突き当たりの扉から一番遠くの扉の部屋。

中に入ればあの時と同じ、冷たい天板と、手術室のような大きなライトがある部屋だった。

学校の教室4つ分くらいの部屋に、たった1つしかない天板。壁際には無数のコンピューターが静かに稼働している。

「朱、乗って。今日は身体測定と健康診断だ」

普通に聞けば安心するだろう。こいつが言わなければ。

言われるがままに天板の上に乗せられ、手足が天版に固定される。

前触れなくついたライトに目が眩んで目を細めた。

「じゃあ、早速始めようか」

ニヤニヤと興奮を押さえないまま研究者は私の体を弄ぶ。

何が健康診断だ。何が身体測定だ。

どこに体切り裂く奴がいるんだよ。

そして、過去から逃げられないとでも言うように意識は自然と去っていった。