弟くんの手は止まらない。欲望に忠実で、私のわずかな変化を敏感に察知してくる。

でも、流されちゃ、ダメなんだよ…。

「魁っ!」

ピタッと動きが止まった。最後の、チャンスだ。

「違う。嫌だった。怖かった。知らない奴に好きなようにされて、嬉しいわけないじゃん!!」

「…俺が消してやる。あんなやつのことなんか忘れさせてやる」

分かってる。でも、ほんとは消して欲しいんだ。あの感触を、植え付けられた恐怖心を。

全部、全部、全部…。消して欲しいんだ。

でも、それを魁にさせたくないんだ…。

だから、首を横に振る。ぎゅっと胸を締め付けられる。

「弟くん、だから。やめて」

「血の繋がりなんか俺たちにねぇだろ」

「でも、法的には姉弟だよ」

「知らねぇ。朱音は、女だ」

知ってる。弟くんは、ずっと私のことをきょうだいなんて思ってなかった。

ずっとずっと、私を女として扱ってきた。だから、過度なスキンシップを求めてきたり、渇きをぶつけられた。

でも、一線は越えちゃいけない。

だって、私は…。