「兄さん!!」

「魁…」

ここに来るのは、嫌いだ。でも、そんなこと、言ってる場合じゃねぇ。

留榎兄さんの元に駆け寄って、その白衣を掴んで揺さぶる。

「朱音は!?朱音はどうなったんだよ!!!」

「落ち着いて。朱音は今、治療中だよ」

「…生きて、るんだよな…?」

「生きてはいる。でも、今回は甘ったれたこと言ってられない」

いつも優しい笑みを浮かべてる兄さんから笑みが完全に消えた。

留榎兄さんが見つめる先。そこには、人1人が寝そべられるだけで寝返りも打てないようなカプセル型のベッドがあって。

その中でまるで死んでいるかのように生気のない顔をした朱音が眠っている。

カプセルのすぐ奥には巨大なモニターがいくつも並んでいて、複雑な数値を表示している。

「なんで、こんなことさせたんだよ…」

「魁、それは…」

「っなんで!!なんで、朱音が…」