「ちっ」

巽が軽く舌打ちする。

嫌なものだ、身内である警察官を疑わなければならないというのは。

「巽、身内だからこそ、犯人は必ず逮捕しなければならない。警察の威信にかけて、同じ警察官の犯行を野放しにする訳にはいかん」

「わかってます」

奥歯を噛み締めて、巽は倉本に頷きかける。

以降も瀬尾はマークしつつ、他に容疑者と思われる人間も洗い出す。

1人ばかりを犯人として決めつけるのは危険だ。

広い視野を持って、捜査を進めなければならない。

明けても暮れても、他者を疑う事ばかり。

「因果な商売だぜ、刑事ってのは」

巽は毒づいた。