街のチンピラから暴力団関係者まで、一撃のもとに伸してきた自慢の蹴り。

多少体力に自信があるだけの、ホームレスに受け切れるものではない。

この一撃で決着がつく。

そう考えていた巽は。

「!?」

目の前が回転した事に驚愕した。

何が起きたのか、最初は分からなかった。

ホームレスが巽の蹴りを外し、蹴り足を制したと分かったのは。

「うぐっ!」

地面に捻じ伏せられてからだった。

そのままホームレスは、臥せた巽の首に腕を回して制する。

このまま絞め上げれば、巽を失神させる事も可能だろう。