現場の死傷者も病院搬送や応急処置が終わった。

後は警察による現場検証のみとなる。

「ご苦労だったな、美奈さん」

倉本が自分の背広を脱ぎ、美奈の肩に掛けた。

「……」

美奈の肩は微かに震えていた。

当然だろう。

クリスマスを間近に控えた街で、突如として起きた爆破事件。

目の前の幸せそうな人々が、一瞬にして爆発に巻き込まれ、命を失う。

爆心地近くにいた人間は、身元判別も出来ないほどに無惨な亡骸と化した。

その光景と、そんな事件を引き起こした犯人を目の前で目撃した美奈。

怖くなかった筈はない。