「お疲れ様」

診療所。

美奈が倉本にコーヒーを差し出す。

こうして週に一度、倉本は美奈の診療所に顔を出している。

何をするという訳でもなく、仕事の定期報告のようなものだ。

別に報告する義務はないのだが、息抜きの下手な倉本の為に、美奈が以前提案したのだ。

生真面目な倉本は義務のように律義に顔を出していたのだが、ここしばらくは多忙が続いて来る事が出来なかった。

「相変わらず忙しそうね。犯人の手掛かりは見つかったの?」

問い掛ける美奈に、倉本は首を横に振る。