「動くな!」

即座に巽がコルトローマンを抜く。

彼だけではない。

周囲にいた捜査員、警察官も、拳銃を携帯していた者は全員瀬尾に銃口を向ける。

そんな彼らの前で。

「!!」

瀬尾は上着をはだけた。

上半身に幾重にも巻き付けられている爆弾。

可塑性爆薬。

所謂プラスチック爆薬だ。

近年では武装勢力による自爆テロ等に多用される事で知られるが、民間でも建築物の爆破解体に用いられる。

小分けや変形により爆発のコントロールが容易である事から、周囲に影響を与えずに限定された対象を爆破する目的に適しており、主に既存構築物の破壊の為に使用される。

爆薬単体は安定で鈍感である為、温度・引火・振動などで爆発する事は殆どない。

火をつけると緩やかに燃焼する。

爆発させる為には信管による起爆が必要となる。