「なぁ、そうだよな、瀬尾」

部屋の入り口。

佇んでいる瀬尾に向かって、巽は振り向き様に叫んだ。

「……」

狼狽もせず、無言で立っている瀬尾。

「思えば最初から、お前はユナボマーに心酔している節があった。犯罪者としてではなく、同じ爆弾に精通する者としてだ。最初は只の犯罪マニアなのかと思っていたがな」

ゆっくりと瀬尾に歩み寄る巽。

「尻尾を出さない狡猾なお前にしては、ユナボマーの話をする時は多弁になり過ぎた。心酔する者を語る時、人間口数が多くなるもんだ」

「だから何だっていうんです?」

瀬尾は眼鏡を中指で押し上げる。

「ユナボマーに詳しかった…だから僕が今回の一連の爆破事件の犯人だとでもいうんですか?」