犯行声明は、最後にこう綴られていた。

『この犯行声明を全国紙に載せる事を条件に犯行を中止する』

「くそ…」

小さく呟く倉本。

これを掲載する事は、犯人を逮捕できず、犯行も止められないと警察が認めるようなものだ。

つまりは警察の敗北宣言。

警察の威信の失墜を意味する。

しかし。

「人命には代えられない…警察の看板に泥を塗られようと、これ以上の犠牲者を増やす訳にはいかない」

苦渋の選択。

「刑事部長」

倉本は絞り出すような声で言った。

「犯行声明を掲載しましょう」