学校を飛び出し、大通りに出てちょうど来たバスに飛び乗り、20分くらい揺られ……花音ちゃんが降りるままについて行くと。


そこはかなり広い空き地だった。


空き地といっても何もないわけじゃなくて、潰された車が山積みになっていたり、不法投棄されてる家電があったり。

なにかの工事が中断されたのか、鉄パイプで組まれた足場もあり、草も伸び放題だった。


人が立ち入らないように、黄色いロープで柵がされている。




「ここ、晃たちのたまり場なの」



呆然と立ちつくすあたしと凌空に、この先を真っ直ぐ指さす花音ちゃん。



「たまり場?」


「晃……地元で悪い人たちとつるんでて」



言われて納得。


こんなところ誰も寄りつかないだろうし、格好のたまり場になるはず。


ここに隼人がいるの……?


普通なら足を踏み入れるのも躊躇う場所も、そう思えば迷うことなくその柵をくぐった。



「足元、気をつけろよ」


「うん」



色んな廃材が散乱していて、注意しないと足を取られそうになる。


それらをかき分けながら進むあたしは不安しかない。



「ねえ、ほんとに隼人はここにいるの?」



前を進む花音ちゃんの背中に問いかけた。


誰にも言わずに、こんなところにひとりで……?



「矢澤くんは晃の所にファイルを取り返しに行くって言ったし、晃からも電話で…………間違いないと思う……」



語尾が弱くなる花音ちゃんに、バスでの会話を思い出した。