「『クリス』はまだ見つからないのか？」

落ち着き払った声で、玉座に座っている男はそう言った。

「申し訳ありません。八方、手は尽くして捜させてはいるのですが‥‥‥‥。」

手下らしき男たちは、深々と頭を下げ、そう告げた。

「もう、お前らでは話にならん。『ハーン』、『ルイ』を呼べ！！」

「かしこまりました。今、呼んで参ります。」

頭を深く下げ、そう言うと、ハーンと呼ばれた男は、部屋を出て行こうとした。

「フフッ。ハーン、別に行く必要はない。ルイはもうすぐここに現れる。」

男が言うのと同時に、いきなり部屋の扉が開き、金髪に深い蒼の瞳の容姿端麗な青年が入ってきた。

後ろには、黒髪に薄紫色の瞳の美男子が、一礼をして、部屋に入ってきた。

そして、ルイの傍に控えていた。

「ルイ、ヴァン。よく来たな。」

男はそう言うと、

「では、私の『言いたい事』も分かっているな？今度こそ、クリスを見つけ出して、『消せ』！！いいな？」

酷薄に言い放つ。

「はい、分かりました。『長』。」

ルイは、少し頭を下げ、そう返事した。

そして、その『表情』は、深い冷笑を浮かべていたのだった。