紘side


「朱音!
お前はどれだけ心配掛ければ気が済むんだー!!」


『紘にぃ、『天龍』出ちゃってるから。』


「そんなのどうでも良いわ!!」


冷静に答える朱音にムカつく。


『怯えちゃってるから。』


「あ……?」


その言葉で
朱音と奈緒珠さん以外の人間の存在を確認する。


「なんで…お前がここに居る!」


「紘先輩。
あの女、朱音と同じ目って事は…。」


隣に居た類、そして全員が勘づいた。


「あぁ、朱音と蒼空を捨てた女だ!」


俺が女に近付こうと踏み出そうとすると、


「待って下さい。」


「類…?」


「話を聞くのも悪くないと思います。
朱音の為にも。

俺も兄貴に会って話したいって思いました。」


類は養子として『樺沢』に引き取られた。
二人は同じ境遇。

だからこそ気持ちが分かる。


踏み出し掛けた足を戻した。


紘sideEND