風が冷たくなってきた。冷えた体を撫でる風の冷たさに、ぶるっと体がふるえたらそれに気づいたのか礼治さんがカメラを持って体を斜めにした。


「いいよ玲奈ちゃん。今日はあがりにしよう」



 礼治さんの声で場の緊張がゆるむ。この場を作り上げている礼治さんの魔法がしゅんと音をたてて散りじりになってしまう。

 虹色の輝きがまだ瞼の裏にあるみたいで、目を閉じてお辞儀をした。



「お疲れさまでしたぁ」



 挨拶したのを受けて、青木さんが上着を着せかけてくれる。思った以上に体が冷えていて、羽織ったパーカーがあったかい。


 礼治さんはもくもくと機材を片付けていたし、青木さんも伊部さんと打ち合わせをはじめたので声をかけて先に戻ることにした。