待ち合わせということで、置いていかれたメニューをじっくり品定めしていると、早足のヒールの音がして、目の前にどさりとバックが置かれた。

エルメスの、バーキン。お色はグリーン。

大きめなそのバックが膨らむくらい何か詰め込まれていて、目線を上げたらやっぱりミカさんがいた。

「待たせたわね」

そう言って巻いていたスカーフを取り去ると、バックと共に隣りの椅子へと置いてテーブルで向かい合った。

「お疲れさまです。お仕事忙しいのにすみません」

にっこり笑ったミカさんは、ちょうど持って来たお水を一気飲みして、タンとテーブルに戻した。