「……礼治さん……好きです」

ドサリと重い物が下に落ちる音がして、温かな胸のなかに包まれるのがわかった。


「胸をかしてあげるから、思い切り泣いていいよ」


見上げたら礼治さんの顔が、キスできるくらいそばにある。うっすらと開いた唇が艶めかしい。

頬を撫でていた手のひらが、髪に差し込まれ胸へと引き寄せられた。礼治さんの甘くてエキゾチックな香りがする。顔を寄せたので、トクトクと心臓の鼓動も聞こえる。



この人が欲しい。



ギュッと礼治さんに抱きつくと、優しく髪をすいてくれて、抱きしめてくれる。涙はポロポロと流れて礼治さんのシャツを濡らしていく。


泣いている今だけは、礼治さんがそばに居てくれるなら、泣き止みたくなんかない……


でも………


しばらく泣いてスッキリした。明日も撮影が残っているんだもん。


せめて礼治さんにキレイだって言われたい……宿に帰ってから、すぐ冷やせば大丈夫。明日も、礼治さんのカメラの前に立てる。