集団面接、ということで番号順に5人づつ部屋に入っていく。次が自分の番だと思うと、ドキドキし過ぎて歩きかたまで忘れてしまいそうだった。

「45から50番までの方は部屋に入って下さい」

「はい」

緊急しながらも、きちんと返事ができた。立ち上がって、順番通りに部屋に入るだけなのに膝ががくがく震える。

姿勢きちんとしなくちゃ。そう思っているのに縮こまる背中が憎らしい。入口付近では、面接を終えた女の子が泣いていて、その子のママらしき人がなだめている所だった。

「千紗ちゃん、大丈夫よ。きっと受かるから」

「もうっ知りもしないくせに、いい加減なこと言わないで!! 」

出来事は一瞬で、声をかけたママが渡そうと持っていたペットボトルの水が、あたしにかかった。

突然のことにびっくりして黄色いTシャツが色を変えて、じんわりと水が染みてくるのを呆然と見ていたら、慌てたママのほうがタオルを差し出して拭いてくれた。ママの手を振り払って、意図せずにあたしにペットボトルの水を掛けてしまった女の子も青ざめて震えている。

「ごめんなさいね。早く着替えたほうがいいわ」

シャツが肌に張り付くくらいの水を被ってしまったので、確かにみっともない。
迷ったあたしに呼び出しがかかる。

「50番の方いらっしゃいませんか? おられないなら棄権にします」

「い…います。すみません。タオルお借りします」

タオルを貸してくれたママに言いおいて入口に向かうと、ツルリと体が傾く。