「……おねーちゃん、怖いよぉ………」


 急に寒くなった気がして、がたがた震えがくる。


「大丈夫だから……」


 きゅっと唇を噛み締めたおねーちゃんは、ちっとも大丈夫なんかじゃないみたいだったけど、あたしの肩を抱いてなだめてくれた。


「DVDでも観よう。お笑いの番組とか、グルメ特番とかなんでもいいから」





 それからDVDと撮りためてあった番組を片っ端から観て……いつの間にか眠ってしまった。ひんやりとした風に撫でられた気がして目を覚ますと、ふいに電話が鳴った。

 ばっと時計を見ると、朝の5時でなんとなくわかった。朝早い電話なんて、いいことない。おねーちゃんを見ると、もぞもぞと寝ぼけていたので自分で電話に出ることにした。


「もしもし」

「……玲奈? 」

「……そう」


 もうやだ。

 おかーさんの声、泣いてる声だ。つられてぽろりと涙がこぼれてしまう。