「あ、いや、ちょっと……サッカー部の友達と帰るんだ」


まただ。

きょうちゃんは嘘つくのが下手なんだよ。

そんなことされたら、もっと気になるじゃん。


「別に大丈夫だよ。あたしもそのサッカー部の友達とみんなで帰る」


困らせてるのはわかってるよ。

だけど、気になるんだから仕方ないじゃん。


「いや、今日はホントに無理なんだ。今度、一緒に帰ろうね?」


子供みたいに扱われたようで少しムカつく。

でも、せっかく一緒に帰ると言っているんだ。

このチャンスは逃せない。


「分かったよ」


結果、ムスッと言ってしまった。

また苦笑いしてきょうちゃんは言う。


「じゃあ、明日な」


意外にも“今度”が近いことにビックリする。

少し心がうきうきする。

軽く手を振って去っていくきょうちゃんに、両手をいっぱい使って振り返す。