「おーい、きょうちゃーん!」


すると、体ごとこっちを向いた。


「あず、なんできょうちゃんって呼ぶかな?もう中学生だよ」


そう言って苦笑いをするきょうちゃん。

そんなの決まってるじゃん。見せつけだよ。

――なんて言えないから、嘘をつく。


「ちっちゃい頃からきょうちゃんはきょうちゃんじゃん」


ありったけの笑顔で返す。

するとさらに困った顔になる。


「それよりさ、今日一緒に帰れる?」


それを聞くのに少しドキドキする。

でも、不安よりも期待の方が上だ。


「あー、今日は、無理かな?」


歯切れの悪い返事。

その返事に心がモヤモヤする。

でも、その不安を見せちゃダメなんだ。

きっと勘の良いきょうちゃんは気付いてしまうから。


「えー!?なんでー?」


自然に、自然に。