「無視すんな!」



「うるせーよ。」



レンさんに釘を刺され
大人しくなるコウタ。



「てかなんでスーツなんですか?」



今度はレンさんに話をふってみた。



「ちょっとお迎えがあってね。」



そう言って
ビールを飲み干すと
マスターにおかわりと差し出す。



誰のお迎えかは
なんとなく分かっている。



昔、この街を仕切っていた人が
いわゆる御勤めから
戻ってくるという話。


狭い地元では
有名な話だ。