「ママ……、助けて」


 そう言いながら、守は輪の中に首を入れた。


「おい、守!」


 真人は必死に訴えるも、


「共犯は黙ってて」


 小林に言われて口を閉ざす。


「それに……黒沢くんには聞こえてないと思うよ?」


 小林の指差す先には顔を真っ赤にして「うーうー」とうなる守。


「友達に裏切られて、誰も助けてくれなくて、黒沢くんの精神状態はもうおかしくなってる。さっきから君が必死に黒沢くんをかばっていたのも、きっと黒沢くんには聞こえていない」


 最後に信頼を回復できなくて残念だったね?と小林は薄く笑った。