「先生」


 そう言った自分の声は、誰か他の人のもののように聞こえた。


 自分が発言するなど、現実感がなさすぎる。


 けど、やっぱり小林が見つめる先にいるのは真人だ。


「何?」


 小林が優しい瞳で問いかけてくる。


「守は、”死ね”なんか言ってませんよ」