「え、ちょっと待って……」


 あっという間に頂上に上らされた黒沢が、目の前で揺れる中谷サンを見ておびえている。


 その震えは、不安定に重ねられた机に乗っているからなのか、彼の心からくるものなのかはわからない。


 カタカタと小刻みに震えながら、それでも守は真人の方を見ようとはしないのだ。


 真人を見ていれば、中谷サンからも岡本クンからも小林からも目をそらせるのに、





 ____守はおれを見てくれない





 もうすぐ死ぬかもしれない守は、最後に自分を裏切ったものの姿など視界に映したくないのだろう。