それがわかっても、守は何も言わなかった。 ただ床を見て、黙っている。 「じゃ、行こうぜ」 岡本クンに言われても、守は動かなかった。 「早くしろ」 すごみのある声で言われて、守はようやく歩き出す。 守は背が低いぶん歩幅も小さく、対して岡本クンは背も高く歩幅も大きい。 それでも岡本クンは守を気にすることなく歩くから、後ろに続く守は小走りだ。 廊下を曲がって二人の姿が完全に見えなくなってから、真人も歩き出した。