「遅かったから迎えに来てやったぜ」


 ドアの向こうには、岡本クンが立っていた。


 トイレの中に足を踏み入れようとして顔をしかめる。


「くっせー」


「あ……ご、ごめん」


 謝るようなことではないのに、守は謝っていた。


 頭を下げる守に目もくれず、岡本クンの視線は真人に向けられる。


「ちゃんと連れてこようとしてたんだな」


 やめろ……それ以上言うな……


「まぁ自分の命かかってんだしな」


 岡本クンはフッと鼻で笑ってみせる。


 それだけで守はわかったようだ。


 真人が、守の命と引き換えに、自分の命を守ったことを。