いろいろ言い訳をして、結局は自分が助かりたいだけだった。


 トイレのドアの取っ手に手をかける。


 押して開けるタイプのドアは少し重く、体重をかけてゆっくりと開いていく。


 トイレの中は思っていた通り、かなり臭かった。


 無意識に鼻での呼吸をやめ口呼吸にかえる。


「守~?」


 声をかけると一番奥の個室から、


「え! 真人!?」


 と驚いた声が返ってきた。


「うん、おれ。大丈夫か?」


 一応という感じで体調を聞いておく。


 さっきまで普通に心配していた守の体調は、今は正直どうでもよくなっていた。


「大丈夫……なんだけど、ちょっと待って」


 少しの間待っていたら、ジャーという音がして守が個室から出てきた。