「えーと今日は…何ページだっけ?」


小林が一番前の席に座る下川さんに問う。


学級委員長の下川さんは生真面目な人で、誰もが嫌がるその席を引き受けているのだ。


授業もきちんと聞いているし質問をすれば必ず答えてくれるから、小林だけじゃなく他の先生も彼女に聞く。


「百二十五ページだったと思います」


「ありがと」


しかし、その問いも答えも意味のないものとなってしまった。


「先生」


号令がかかったわけでもないのに、岡本クンが立ち上がった。