「きりーつ」


 委員長の号令とともに、ガタガタとまばらに立ち始める。


「きをつけー」


 姿勢を正す者などいない。


「れい」


 浅く頭を下げ、真人は椅子に座った。


 かすかに委員長の「ちゃくせき」という声が聞こえたが、それに真面目に従っている者などいなくて、委員長も形だけ言っているだけだろう。


 小学校のころから慣れ親しんできたこの挨拶には相手を尊ぶという儒教の考えがあるらしいが、今の状況を見たら孔子も泣くだろうなと思った。